患者は何を信じればいいか?

http://snn.getnews.jp/archives/266290

少なくとも、製薬メーカーが承認申請のために実施する治験では、ねつ造がある確率はかなり低い。規制当局から、GCPを核とした制度でがんじがらめに監視されているので、もし悪質なねつ造があれば、ほぼ発覚する。微小なねつ造はスルーされる確率は高いが、そんなねつ造では、たとえば、ただの砂糖玉を画期的な新薬に仕立てることはできない。
治験は、多くの医療機関に依頼して行われるが、患者一人あたり、100-200万円の金が医療機関に支払われる。ポイントは、医師にではなくて、医療機関に支払われるということであり、医師側にねつ造する動機は生じにくい。また、そもそも検証試験は二重盲検が普通なので、メーカーに有利なデータをねつ造するのは困難である。二重盲検を破ることはやってやれなくはないが、発覚する確率は低くなく、発覚した場合、メーカーは息の根を止められる

一方で、医師による臨床研究については、規制当局は監視しない(当然だが)。よって、すでに上市されている薬の宣伝に利用されやすい、というか、利用するのがメーカーの伝統的な戦略だった。今後は、奨学寄付金はやめて、研究を委託するという流れになるだろうし、また、日本製薬工業協会の透明性ガイドラインによって、透明性は劇的に向上するはずである。

患者は何を信じればいいか? とりあえず、新GCP施行後に承認された薬剤については、添付文書に書いてある効能は嘘ではないと思っていい。ただし、自分に効くかどうかはわからないし、治験は無作為抽出を用いないため、どのような集団に効くのかも基本わからない。つまり、基本、医療の選択は当てもんと同じ。問題は、くじを引くべきか、引くならどのくじを引くべきかについて、合理的に判断する方法があるかということで、ないかもしれないなあ、と思う今日この頃。