臨床研究はGCPで

http://www.yakuji.co.jp/entry35184.html

全部読めないが主旨は想像できる。
こういう話は前からあるが、GCPというのは製薬会社性悪説に基づいた監視システムといっても過言ではないくらい、細かいことが定められている。それを遵守するには多くのスペシャリストの支援とインフラが必要になる。つまり、金がかかる。臨床開発に莫大なコストがかかる一因である。
なので、アカデミアの研究でGCPというのは非常に抵抗が大きい。

もし、すべての臨床研究にGCPを義務づけたらなら、コストの問題で医師の本当に自主的な臨床研究は激減すると思われる。ちょっと古い記事だが、EUでは臨床研究にICH-GCPを導入してから、自主的な臨床研究が駆逐されつつあるそうだ。

http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=282

そりゃ、研究者が獲得できる公的予算で、そうそうGCP準拠の臨床試験はできないだろう。

さて、実は私は日本の臨床研究者の自主的な臨床研究は基本的に信用していない。製薬会社とつながっていようが、真に自主的であろうが関係なく信用してはいない。それは、ここで

http://japhmed.jp/pm09.pdf

「しかしながら,後に述べるが,依然として薬事法によってすべての医薬品の開発と評価がカバーされるという国際的なルールにはまだほど遠い現状があり,野放しの臨床研究がまかり通っている。これがいかに日本の医薬品・医療機器の開発を損ない,そして医薬品の評価さらには標準治療の革新に大きな障害となっているかを,一部議員はもとより,一部行政,マスコミ,そして一部医師・研究者は自覚できていない。あまつさえ薬事法GCPについて厳しすぎるとか,イノベーション促進のために規制緩和とかの声が上がるのは,科学者の自覚のなさの証明であろう。」

と、手厳しく批判されている通りの状況を見ているからだ。もし、臨床研究もGCP準拠で実施するとすれば、医師の自主的な臨床研究は激減するだろうが、日本に限って言えば、それで患者の利益が損なわれることはないだろうと思う。GCPはしんどいという臨床研究者は、診療に戻っていただいた方がよい。もし研究者としてのキャリアを選ぶなら、基礎医学のほうが自由がきいてよろしいでしょう。