2012-01-01から1年間の記事一覧

平均寿命世界一のカラクリと、がん大国の理由

そろそろ、日本の平均寿命が発表される時期らしい。平均寿命は年齢別の死亡率の情報、いわゆる生命表から計算される。生命表には完全生命表と簡易生命表があり、前者は5年に一度の国勢調査に基づくもので、毎年発表される後者は、毎年10月1日の人口推計と、…

個体差とRCT

個体差が大きいと、RCTで評価できないというような、奇怪な主張をしている方々がいる。たぶん、この人たちは介入の無作為化の意味を理解していない。また、二重盲検法がRCTの最重要ポイントだと思っている人けっこういて、これはちょっと違う。肝は介入の無…

おまけ

人口寄与危険割合は、リスク比と曝露割合を用いて曝露割合*(リスク比-1)/(1+曝露割合*(リスク比-1))と表すことができるので、現在の喫煙率を用いて、肺がんの人口寄与危険割合を算定してみよう。男性喫煙率は36.8%という値が拾えるので、リスク比を4とすると…

集団寄与危険割合

たとえば、ある病気の原因の候補の介入を無作為化して、二つの集団を用意できたなら、同一の期間観察したとき、その病気になる人の割合の期待値は、原因候補が原因でなければ(変な言い方だけど)互いに等しい。もし、確かに原因候補が原因であれば(変な言…

原因は結果より先にある

前回の補足になるが、因果関係の判断で最も重要なことは、原因は結果より前に生じるため、原因の消長と、結果の消長は同時に観察されず、時間的にずれるということだ。たとえば、原発事故で懸念されている低線量被曝の影響は、10年、20年先に出てくると言わ…

因果関係と無作為化とホメと丸ワク

因果関係というのは、直接観測できるものではなく、物事を理解するための概念であるため、どのような因果関係が興味の対象なのかについてコンセンサスがないと、話がかみ合わない。 たとえば、人が死ぬ原因は生まれたことだとか、生きているから病気なるのだ…