年齢調整

がんに限らず、多くの病気の原因第一位は、加齢(老化)である。昔と今では、今の方が高齢化が進んでいるので、多くの病気で、罹患率が増加している。罹患率は一年単位で示されることが多いので、以降は特に断らず罹患率は一年あたりの罹患率として話をする…

臨床研究はGCPで

http://www.yakuji.co.jp/entry35184.html全部読めないが主旨は想像できる。 こういう話は前からあるが、GCPというのは製薬会社性悪説に基づいた監視システムといっても過言ではないくらい、細かいことが定められている。それを遵守するには多くのスペシャリ…

患者は何を信じればいいか?

http://snn.getnews.jp/archives/266290少なくとも、製薬メーカーが承認申請のために実施する治験では、ねつ造がある確率はかなり低い。規制当局から、GCPを核とした制度でがんじがらめに監視されているので、もし悪質なねつ造があれば、ほぼ発覚する。微小…

武田薬品は誇大広告をしたのか?

http://diamond.jp/articles/-/49558論文とパンフのグラフが違うという話だが、ハザード比の点推定値と95%信頼区間、p値が全く同じなので、基本同じグラフである。表示されている期間が違うのは変だが、論文のほうのグラフを見ても、ほぼクロスしているなあ…

確率と個体差

確率の定義には、ラプラスによる古典的なもの、頻度論的(統計的)なもの、コルモゴロフによる公理的なものがあり、学校では最初に古典的な確率の定義を習う。ポイントは「同様に確からしい」という概念だが、この概念そのものが確率の概念を含んでおり、古…

平均寿命世界一のカラクリと、がん大国の理由

そろそろ、日本の平均寿命が発表される時期らしい。平均寿命は年齢別の死亡率の情報、いわゆる生命表から計算される。生命表には完全生命表と簡易生命表があり、前者は5年に一度の国勢調査に基づくもので、毎年発表される後者は、毎年10月1日の人口推計と、…

個体差とRCT

個体差が大きいと、RCTで評価できないというような、奇怪な主張をしている方々がいる。たぶん、この人たちは介入の無作為化の意味を理解していない。また、二重盲検法がRCTの最重要ポイントだと思っている人けっこういて、これはちょっと違う。肝は介入の無…

おまけ

人口寄与危険割合は、リスク比と曝露割合を用いて曝露割合*(リスク比-1)/(1+曝露割合*(リスク比-1))と表すことができるので、現在の喫煙率を用いて、肺がんの人口寄与危険割合を算定してみよう。男性喫煙率は36.8%という値が拾えるので、リスク比を4とすると…

集団寄与危険割合

たとえば、ある病気の原因の候補の介入を無作為化して、二つの集団を用意できたなら、同一の期間観察したとき、その病気になる人の割合の期待値は、原因候補が原因でなければ(変な言い方だけど)互いに等しい。もし、確かに原因候補が原因であれば(変な言…

原因は結果より先にある

前回の補足になるが、因果関係の判断で最も重要なことは、原因は結果より前に生じるため、原因の消長と、結果の消長は同時に観察されず、時間的にずれるということだ。たとえば、原発事故で懸念されている低線量被曝の影響は、10年、20年先に出てくると言わ…

因果関係と無作為化とホメと丸ワク

因果関係というのは、直接観測できるものではなく、物事を理解するための概念であるため、どのような因果関係が興味の対象なのかについてコンセンサスがないと、話がかみ合わない。 たとえば、人が死ぬ原因は生まれたことだとか、生きているから病気なるのだ…

帰無仮説はナンセンス?

帰無仮説はナンセンス。だから統計的仮説検定は・・・ というような批判を久々に聞いたので。たとえば、ある健康なヒトの集団をランダムに2つにわけたなら、同一の観察期間中おいて、肺がんに罹る人の割合の期待値は互いに等しい。一方の集団に喫煙をさせた…

日本人と癌

日本人にがんが激増しているが、その主要な原因は高齢化であることは、言うまでもない。 年齢で調整したがん死亡率は緩やかに減少しているので、年齢階級別の死亡率(全がんによる死亡率)は減少しているはずで、実際そうなっている。http://ganjoho.jp/publ…

統計的仮説検定

統計的仮説検定は、作物や家畜の品種改良や、医学研究において、非常にマッチした道具である。有意差が見出されなかった場合、消極的に帰無仮説を受容するが、作物や家畜の品種改良では、実績のある在来品種が存在し、医学研究では、実績のある既治療(標準…

タミフル個人備蓄と科学的リテラシ

いまさらかもしれないが、知人の何人かが、タミフルを個人的に備蓄していることが判明。自分より子供が心配とのこと。手段は、去年、一家でインフルになったときの飲み残し(期限大丈夫?という突っ込みは受け流された)とか、個人輸入とか。 一応、医学、ま…

フィッシャーと喫煙と肺がんと

愛煙家だったというフィッシャーが、「たばこ発がん説」を最後まで認めなかったという話は聞いていたけど、その根拠まで確かめていなかった。 で、いろいろ調べてみた。きっかけは、ドールとヒルが1950年に発表した、症例対照研究の論文。http://www.pubmedc…

平山論文 計算間違い騒動

平山氏の受動喫煙の研究が発表された直後、大騒ぎになり、計算間違いだという批判もあった。その様子はhttp://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4320013883.htmlの「Hirayama story」という章に詳しい(といっても絶版だけど)。簡単にまとめると、平山氏は拡張…

メタボ

最近、私の胴囲、じゃなくって、周囲で、メタボがよく話題になる。メタボの診断基準って、そもそも妥当に定義できるの?という根本問題はおいとくとして、胴回りの基準については、根拠となったらしい論文を読んだことがある。正直言って、びっくりしたのだ…

ごみ入れを開けると

生ゴミを入れている袋の片面に、沢山のコバエの幼虫が張り付いていた。 口はしっかり縛ってあったのだけど、隙間からはいだしたか? と思ってよく見てみたら、その片面が妙にてかっている。 指を濡らして舐めてみると、魚の腐臭とともに甘辛い味がした。 十…

日本人は、ほんとうに長寿になっているのか?

平均寿命が延びている日本ですが、その大部分は乳幼児死亡率の低下によるものであり、大人の寿命(余命)は、昔からさほどかわっていない、いや、もしかしたら、短くなっているのではないか? と疑う人たちがいる。 昔々、僕は、うっすらとした記憶の中に、h…

にっぽんの伝統食

日本の伝統食といえば、昆虫食は外せない。 メジャーなところでは、イナゴ、蜂の子、ザザムシといったところか。イナゴは国産でまかなっているのかと思っていたら、中国から輸入もされていた。http://www.afftis.or.jp/konchu/hanasi/h04.htmちなみに、イナ…

喫煙と肺がん

喫煙が肺がんの原因の一つであることは明白である。が、しかし、メカニズムが解明されていないから、せいぜい「可能性がある」程度だ、と主張する人々がいる。で、最近、メカニズムが解明されたという。毎日新聞が、おかしな日本語の見出しで笑わせてくれた…

肉食と人類と肥満

人類は肉食によって、脳が発達したという説がありますが、実は、人類に近縁とされるチンパンジーも野生の状態で肉を食べます。 http://www.hs.sugiyama-u.ac.jp/~ihobe/chimp/hunting/1.html 農耕は、だいたい1万年前から始まったといわれていますが、人類の…

がん、免疫 老化 PPK

わが国では、がんはとても増えてきているが、その主な原因は高齢化である。それは、年齢調整罹患率や、年齢調整死亡率を見れば一目瞭然なのだけど、見えるものが見えず、見えないものが見えてしまう恐るべき能力がある人々には、それが見えない。いや、もし…

有機野菜

この世には、有機野菜という奇怪なカテゴリーがあるらしい。 え、じゃあ、無機野菜って、炭素が珪素で置換されてるとかですか? と、ぼけてみても、誰も突っ込んではくれない。 僕は、十数年ほどのスズムシの累代飼育を楽しんだ経験がある。餌は、スーパーで…

食品添加物は危険だと教科書に書いてあるの?

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/forum/3rd/kouen.pdf/ 見逃せない問題は中学生・高校生用の教科書がゼロリスク神話を広めていることである。 多くの教科書が食品添加物の摂取量を減らすよう呼びかけ、副読本の中には食品添加物ががんや奇形を…

バッタってオーガニック

マクロビとかオーガニックとかの「自然なこと」を信仰している女性と話した。 夜中に目がさめて、家のそばの馴染みのショットバーに行ったら、 「この人、そんなんむっちゃ詳しいんですよ」って、 マスターがふってきたのだった。 自分の生き方にとても自信…